今回の旅の目的の一つは墓参りだったので、それは一番に済ませてそのあと近場の美術館に行きました。
たまたまではなく、非常に興味深い特別展をやっていたのです。山種美術館「犬派?猫派?」展。いや両方だよと突っ込み入れたい人も多いよね、きっと。
江戸時代から現代まで、日本美術に登場するわんにゃんが主役の絵画を堪能できる展示でした。美術に詳しくないけれど琳派というのが好きでして。その琳派のなかでもかわいい(と言ってよいのか?)画風の絵を残した中村芳中の「仔犬」や、明治から昭和にかけて琳派スピリッツを受け継ぎ図案家として大成した神坂雪佳の「狗児」もありました。
どちらもころころとした、もうかわいいとしか言えないモフ具合の子犬がモチーフ。ただただ丸くなっている子犬、また、ちっちゃいカタツムリを見つめる子犬、です。
ふたりとも上方画壇ということで京都の芸艸堂さんから出展されていました。関西在住なのにわざわざ東京で見なくても、とちょっと思わないでもないですが、状態の良い版画を間近でゆっくり鑑賞できてとても満足しました。
知ってました!?雪佳はんの「狗児」には眉毛が5本はっきりと描かれているのですよ、白いのが!絵葉書やカレンダーにははっきりと見えないので気づきませんでした。嬉しい発見でした。
また、どの展示も一つ一つが特徴的で選び難いのですが、特に印象に残ったのが小林古径の「猫」でした。ぴーんとしたお座り姿勢の白多めの三毛猫。色の加減か線の細さのせいか、発光しているかのようでなんとも神々しく、猫神様といった雰囲気です。
猫の視線は鑑賞者の斜め上方向で視線が合わないんですが、それもまた猫っぽくて、つい見つめてしまう感じ。絵の片隅に添えられた紫のキキョウの花がまた高貴さを表しているかのようで、いつまでも絵の前でたたずんでいたくなりました。一度その場を離れましたが、展示室を出る前にまた絵の前に戻りましたね。
いつかまたあの猫神様に会いに行きたいです。
いやー、やはり本物の絵はパワーが違いますね。たまにしか行かない美術鑑賞、久しぶりに良い気をもらいました。